Baby×Baby×Baby 40
でもまだ書けてません(泣)
*****
このバッグひとつで引っ越し出来ちゃうあたしって何んだろう。
まぁ火事で何もなくなったんだから同じか。
約束通りに暗くなる前に買い物をすませようと
見知った駅なので迷うことなく駅の方向へ歩いていき買い物をすませた。
「ほんとに便利」
類のマンションは車を使うことしか考えずに選ばれているので駅からは15分近く歩く。
だがここは駅までつくしの足でも5分でつく。
おまけにバイト先もすぐ近くだ。
大学までは電車でもバスでも行けるしこの上ない立地条件。
夕食のパスタを食べながら
「あたしがマンションを出なければいけない理由って花沢類だよね?」
そんな事を思いながらくるくるとパスタを巻き付け口へ頬張った。
月曜日からは電車で大学へ向かいみんなに引っ越しをしたことを伝え
類の父親である蒼とランチを食べた話をした。
最初は驚いた顔をしていたが、自分と同じようにホッとした顔をみせ遊びにきてくれるといった。
授業が終わればバイトへ行きいつもよりずっと早く自宅へ戻れる。
花沢類も言っていた通りに毎日連絡をくれて引っ越しの話は、わざと俺に言わなかったんだってすごい怒っていたから笑ってしまった。
司の邸へ行って帰りにはエントランスの前で降り
誘っても部屋へは一人の時は寄ることもない。
あきらの家のバイトへ行けば予想通り泊まるようになり翌日あきらに送られる。
そしてあきらもまた一人の時は立ち寄ることもなかった。
フランスへ滞在している類は万理と綿密に相談を重ね
一緒にプロバンスにある花沢の親しくしている家へ一緒に宿泊をしていた。
「恋人かい?」と聞かれたときに双方が
「「違います」」ときっぱりと答えた姿に家主は苦笑いをしたが、その理由を伝えると納得しいろいろな噂や起きている事を教えてくれた。
「失礼します」
「どうぞ」
お付き合いをはじめたという感じにみせる為にそっとエスコートをする時も
類が声をかけ万理が了承し、腕を組むときは万理が声をかけ類が了承する。
はたから見たら童話の中の王子様とお姫様のデートとしか見えないが
本人たちはいたってクール。
だが時折耳にする恋人との会話はそれとは別物で
それがお互いの安心感であり信頼だった。
集めた情報を分析し解決策を検討しあいサイモンに連絡をとった。
そして国府田コーポレーションが窮地に立つ事があるかもしれないという最終確認を万理に尋ねると何の躊躇いもなかった。
父に対する恨みではない。プロバンスだけの思いでもない。
国府田コーポレーションで働く人々を思い原点に返らなければいけないと万理は思っていた。
そして類の渡仏から2週間が過ぎた。
一人きりの週末は退屈。
掃除も洗濯も終わりテレビをつけてみていても類のいない事がこんなにも淋しく退屈なものなのだろうか。
バイトでも行ってればまぎれるのに…。
乾燥が終わったベッドカバーにアイロンをかけ
ベッドにつけているときにつくしは類のマンションの洗濯機の中に入れたままになっている事を思い出した。
蒼の訪問の後、突然引越しとなってすっかり忘れていた。
時刻はまだ13時。
土曜日のこの時間を家の中だけで過ごすのも退屈であったし外へ出てはいけないとも言われていない。
そして類のマンションへ出はいりをしてもいけないとも言われていなかった。
一度ぐらいいいよね?
急いで部屋を出ると電車の乗り類のマンションへと向かった。
誰が入るわけでもないのだから、洗濯機の中は洗って乾燥されたままのカバーリング。
空気の入れ替えに少し窓を開け放ち
アイロンを取り出し丁寧に皺ののばすと類の部屋と自分の部屋のベッドを整え
元のように戸締りとカーテンを閉め早々にマンションを出た。
エントランスと出たところで携帯が鳴り桜子からの連絡だった。
(牧野先輩どちらです?)
「花沢類のマンション」
(どうしてですか。何かありましたか)
「いや洗濯物がそのままなの思い出して」
(先輩らしい。美味しいケーキを買ったのでお邪魔しようと思っていたんです)
「じゃあ今から戻るから来て。30分ぐらいで戻れるから」
電話を切ると駅までの長い道のりを足早に歩き始めた。
だがその後をつけるものがいたなどつくしは微塵も思わず桜子のもってくるケーキに胸を弾ませ家へと向かっていた。
マンションに戻るとすぐに桜子が来て
美味しいガトーショコラに舌鼓をうちながらのガールズトーク。
「夕飯も食べていきなよ」
「牧野先輩残念ですけど私と食事をしたいという男性が順番待ちしてますのよ」
「あらそうですかい」
「うふふ。今度は必ずごちそうになりに伺います」
「待ってるね」
エントランスへ出ると桜子が一瞬怪訝な顔を見せる。
「どうした?」
「ううん」
何も言わず桜子は迎えの車に乗り早く中へ入るようにつくしを促しエントランスをくぐったのを見とどけると車は走りだした。
運転手に「後ろの車はいつからとまっていて?」
「私どもが来たときにはすでに停まっておりました」
つくしの住むマンションは高級マンションだ
黒塗りの車が待機していたも可笑しい事はひとつもない。
自分もまた運転手を乗せたまま待機させている一人にすぎない。
考えすぎか…。
そう思っても桜子の勘は僅かに危険信号を知らせていた。
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