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Mint 52



翌日、目を覚ますとしっかりと道明寺の腕の中に抱きかかえられるように眠っていてだから安心して眠れた事を思い知る。


同時にそっとあいつの顔を見上げながら申し訳なさも溢れてくる。
自分でも何でこんなにも拘るのかと思う。
だけどそれをよしとすることはどうしてもあたし自身が許せなくて自分でもそんな自分が歯がゆいとさえ思う。


道明寺の胸に静かに頬をつけると


「起きたのか?」
寝起きの掠れた声が聞こえ


「うん」


あたしは小さく返事を返した。
抱きしめる腕が強くなり


「わかってんだ」
「うん」


それ以上の言葉はいらなかった。
だけど西田さんからもラストチャンスだと言われてるって小さく吹き出すと


「無理やりは牧野には逆効果でビジネスと同じように熟す時を待つ必要があるんだとよ。それにな、お前から歩いて来なきゃ止まった時は動きださねぇ。相手がお前だけに心を引き戻すのは、並大抵の事じゃねぇしな。でもその牧野を一番わかってんのが俺だって言われてすげぇ我慢してきてた」

「あたしってそんなに厄介かね」


西田さんの言葉を聞いてあたしも吹き出した。


「そんでも、俺の性分にも合わねぇ。いつまでも待ってらんねぇんだわ。ダメだとわかっていても力づくでも早くお前を傍に置いておきてぇんだよ」
「わかってるから。あたしも自分の性格を持て余してるから。自分で自分の気持ちに決着つけるから」


まだここでも折れないあたしに相当面白くなさげだったけれど


「早く決着つけるために家に帰って考える」
そう言った時には無理に引き止めることもしなかった。


ただ淋しそうで不安そうな瞳で見つめ


「いなくなんなよ」
「いなくなるわけがない」


微笑み返すと小さく笑って頷いてくれた。


「喧嘩して帰るわけじゃないからね」
「あぁ」


車で送らせるという言葉も横に首をふって1人歩いて邸を出た。

こうやってあたしの意志を尊重してくれるのは、離れていた時間があるからで、それがまたひとつになって一緒に歩き始めたという事を大切に思ってくれているからだと思う。


歩きながらも何度も何度も自分の心に問いかける。
あたしは道明寺が好きだ。
ずっと一緒に生きていけたらいいと思う。
むしろ生きていきたいとあたしの方が思う。


今の会社にやり残したものがあるのかと考えると離れ小島の生活をしているあたしにやり残したものも未練すらもその為の準備期間であったかのように何もない。

仕事はしたいのかと考えると生活の為に働きたい。
そんな必要はないと言われても結婚したわけでも婚約したわけでもないあたしが邸にいてのんびりとした生活というのも理屈に合わない。


まして数々のお稽古があると言われそうでそんな事だけの毎日も嫌だ。
でも嫌だけれど必要とあればやるしかないとは思う。


じゃあ何が嫌なのか。
そう思うとやはり生きてきた世界の違いなんだと思う。
その世界で生きていくということにあたしは怖気づいている。


雑草だってひどく踏みつけられれば枯れてしまう。
いらないと簡単に抜かれゴミのように放られてもそれはうまれてきた運命だと諦めるしかない。


立ち向かったところで変えられるものではない事を身をもって知っている。
いや知り過ぎているんだと思う。


高校生だったあの頃は無鉄砲さもあった。
怖いもの知らずでもあった。
どうにかなるんじゃないかっていう希望もあった。


でもそれはひどく現実を見せられてきたあたしは人が思っている以上に傷ついている心も怖さもある。


あの頃だったらフンッと強気で返す事が出来たであろうあの秘書の人の言葉も自分の予想以上にあたしをうちのめし傷つけた。


それは、道明寺と離れている期間、あたしは自分が傷つかないよう生きてきた結果かもしれない。
そして無暗に人を傷つけ楽しむような言葉をいう人たちのいない生活をしてきていたからなんだと思う。


こんなあたしで道明寺と一緒に生きていく事が本当に出来るのだろうか。
それであいつは幸せになれるんだろうか。


あの頃のあたしの強さ…
それは何だったんだろう。


電車を乗り継ぎ最寄り駅につくまで何度となく零れだすのは大きなため息しかなかった。


だけどきっと解決策はある。
あたしにまた勇気を思い起こさせる何かがあるはず。


だって道明寺の手はもう二度と離したくない。
その思いがあればきっと越えられる。


「頑張れつくし」


自分を励ましあいつの声を聴くとせつなさが溢れてしまうから 


ちゃんとずっと考えてるよ。
あんたの手だけはもう二度と離したくないから。
だからもう少しだけ待って。
厄介なあたしを自分で説得するから。


そうメールを書いて送信した。 


あぁ。
待てなくなったら攫いにいくだけだ 


それだけ書かれていたけどあいつも一生懸命に我慢してくれている事は十分すぎるほどわかった。


********
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花より男子の二次小説です。
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