イチブラ 19
ミスった時に見ちゃった方(笑)ごめんなさいッ
一方で道明寺と美和子さんから聞こえてくる内容にあたしはチラチラと2人の顔を見てしまう。
それは、真面目な顔だけれどあたしにとっては聞きづてならない言葉に感じる。
「みんなを守る方法だよ」
川本さんはあたしにそう言った。
それは、道明寺の想いもあたしもそして美和子さんの立場にこの店
全てが渦に巻き込まれる可能性が高いからだ。
「つくしちゃんがやめようとしても、彼は絶対にやめない。まぁやめられるぐらいならそもそもここに来てないだろうし、その程度なら力も貸さないわ」
あたしの迷いを簡単に断ち切った。
「つくしちゃんの身の安全だけは約束しなさいよ」
「当り前ぇだ」
道明寺の答えが満足だったようで美和子さんは大きく頷いた。
「じゃあ今夜もちゃんと送って帰ってね」
美和子さんは楽しそうに立ち上がりあたしも急いで立ち上がるとトレイの上へとカップを乗せた。
「そのままでいいから。あまり深夜になるとなおさらよくない」
苦笑いで川本さんが店の外を見回すと
「大丈夫そうだ」
あぁ…記者かと道明寺をとりまくスキャンダルに項垂れる。
「元学友でしょ?堂々としてなさい」
それもそうだと気を取り直すと道明寺と一緒に車まで歩き川本さんたちに見送られて車は走り出した。
正直なところ、あたしが一番蚊帳の外だったような気がしまくる。
だけどそうされたのは、頑固な上にあれこれ考え過ぎて先へ進めないあたしを誰もがわかりきっているからなんだろう。心の葛藤を見透かされているからなんだろう。
運転する道明寺の横顔を見ると確かにこれまでとは違って見えるというか、あぁ見てもいいんだという安心感のようなものを感じた。
「見るならもっとしっかり見ろ」
言いながら笑っているその表情で目の奥も鼻もツーンとする。
「ま…まずは…メールからってことでいいですか」
「お前…相変わらずアホだな」
道明寺は笑っていたけどこうやって店へ来るための時間を作るのだって大変だっただろう。
「またNYへ行くんでしょ」
「暫くはこっちだ。まぁ行っても長期間って事はない」
「好きにならなくても怒らないでよ」
「んなわけねぇだろ。お前の気持ちが俺には伝わり過ぎる」
「それ勘違いだから」
それでもあたしの心の中にも何となく嬉しさみたいなものがあって、だけどそれだけじゃなく怖さも感じるのは、その嬉しさがあの頃の気持ちとの錯覚かもしれないという曖昧さだった。
「あたしと関わってあんたのお母さん…」
「あの頃の口ばっかりの俺とは違う。まぁ完璧とは言えねぇけどな」
信号で止まると小さく笑い
「それでも手も足も出ないほど非力じゃねぇよ。あのババァに手古摺ってお前に逢いにくるのが遅くなっちまったんだからな」
完璧じゃないことがどれほど恐ろしいことか道明寺にはわからないのかもしれない。それでも「信じろ」と言われると何の確信さえもてないのに頷いてしまうのは、大人になったあたしたちが言葉の重さを知っているからなんだと思う。
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しっかり見ろってガン見OK
あぁ…私ホント司スキだわ…←乙女モード
更新頑張れエネルギー押してねッ♪