02 Lettre D’amour Anne and George
Lettre D’amourの看板娘の杏ちゃん。
素直で優しいとってもいい子。
あいつを初めて見た時に杏ちゃんは泣いた。
ぞわぞわして怖かったと杏ちゃんはいう。
なんかわかる。
言いたいことはものすごくわかる。
それはきっとあいつの持つ強すぎるオーラなんだと思う。
小さい杏ちゃんにはそれが怖かったんだろう。
だけど人なつっこい杏ちゃんは『道明寺』の名前がテレビでもパパやママからもそして遊び相手のあたしからも出るので興味を示した。ただ…そこに1つだけ問題がある。
「道明寺、悪いけど閉店にするから杏ちゃんと遊んでて。今日おばあちゃんお留守なの」
仕方ねぇという感じで道明寺は杏ちゃんを片手で荷物のように抱えるとカフェの方へ連れていく。
「うちの大事な娘を荷物みたいに」
川本さんは大笑いだが、実はこの笑いはそれだけじゃない。
あたしも笑いたくて仕方ないしそれが聞きたいから道明寺に頼んだようなものだ。
「おい、今日は何して遊んだんだ」
「ままごと。どうにょうじさんは?」
「あ?導尿寺?」
そう。杏ちゃんは道明寺が言えない。不思議と『みょ』が苦手なようだ。
緊張するから余計に言えず可哀相なのであたし達は何れ言えると自由にしている。
「同情寺?あ…ドジョウ寺さん??」
キラキラした目で純粋に本当に一生懸命言おうとしている。
だがどうしても道明寺にならない。
不思議とならない。
笑いを堪えるから片づけをしている躰が震える。
それは川本さんも同じでやけに息が荒い。
「おいチビ。道明寺だ」
「導尿寺」
「おい、お前それ一番やめろ」
「うん」
「どう」「どう」
「みょう」「みょう」
「どうみょうじ」「どうにょうじ」
もうさすがに堪えきれなくなってついに声を挙げて笑ってしまう。
「にょよりみょの方が言いやすいだろ」
「うん」
「どうみょうじ」「どうにょうじ」
あはははは
ジロッと人を睨むけど止まらない。
無理だ。
「うふふ…なんか幼稚園の先生もさ、杏ちゃんのお店に来る人だよねってあんたの事も聞くらしいのよ」
「うん。導尿寺さんって見たことある?って聞かれる」
「おい、お前導尿じゃねぇぞ。道明だ」
杏ちゃんも本気で言ってるのがわかるから終いには道明寺も笑い出した。
「あんた、幼稚園じゃ導尿寺司だから」
「ひでぇよな」
その間も、ずっと杏ちゃんは練習していてそれがまた可愛いんだ。
「ドジョウさんでもいい?」ついには妥協案を提案してきた。
「うちの娘の努力を理解してやってくれよ。はははは」
「おい、親父の教育がなってねぇぞ」
「何言うんだ。俺も美和子も導尿寺なんて言わないぞ」
言い合ってもみんな笑っていて杏ちゃん1人でとっても真剣。
「ジョージなら言えるの」
杏ちゃんの上目遣いにほだされたのか
「特別だからな」
「うん」
「お前はAnne俺はGeorge」
「はい」
それから杏ちゃんは道明寺をGeorgeと呼ぶようになり幼稚園の先生やママたちにもGeorgeの名が知れ渡る事となった。
そんな可愛いお姫様のいるLettre D’amour
だが姫の待つ白馬の王子は別の人。
その話はまた今度
~Fin
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川本家の可愛い杏ちゃんでした
イチブラ番外編は書きやすいな
応援エネルギーお願いしますッ♪
名無し様教えていただき有難うございます。
直前まで時期的に日傘か傘か悩んでた結果ですねぇ
0時に間に合うように慌ててセットしたのであちゃーです。助かりました。
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