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イチブラ 20

それはイチゴケーキのように甘くブラックのように苦かった。



「万事慎重に」
車を降りたあたしが、いの一番にそれを言うとプッと吹き出したあと


「連絡する」
「あぁうん」
この間と違って車が走り去るのを見送った。



考えてみると花沢類や美作さん、それに西門さんだってこうして送ってくれるしお茶でも飲む?と家へと誘うこともある。
そこにスキャンダルという事を考えたことは一度もなくて、改めて思うと恐ろしい。

よくバレなかったと思う。
彼等と会うたびに噂されたら、このあたしがスキャンダラスな女になっていたかもしれない。
いや、もしかするとあたしが何も気にしていないだけで彼等は知られていない車に乗ってきた道明寺のように恐らくは注意を払っていたのだろう。



「追い回されるなんていう人生を送ってきてない人間にはわかるわけないわ」
玄関のドアを開けて思わずつぶやく。



ただいまと部屋の電気をつけるとあたしの足は真っ直ぐにクローゼットへと向かう。
扉を開けると中にある小さなチェストの引きだしに指をかけた。

一度深呼吸をしてしまうのは、捨てられずにしまってあるあまりにも重すぎる過去がある。
だけどゆっくりとその中身を確認して取り出した時、あたしの隣には17のあたしも並んでいた事だろう。

その箱を開けた時は26のあたしの何倍も嬉しそうな顔をしてるよね。
指先で土星のカタチをなぞるのも掌に乗せるのもあたし1人であって1人じゃない。
あたしと道明寺の関係が輝きを失ってからも何も変わらずに光輝く土星のネックレス。



「あいつは、覚えてるのかな」
箱の中へ戻した時、ズキッとした小さな胸の痛み。


「ごめんね。まだこれをつけようとは思えない」
この言葉の宛先はあたし自身。


チェストの中へ戻すと遅くなりすぎた夕食タイム。

「あぁ…あいつのせいでこんな時間」
どうにもあたしという人間は、道明寺相手だと文句のひとつも言いたくなるのだろうか。
あたしが食べていないという事は当然ながら道明寺も食べていなくて美和子さんだって同じだったろう。



「あたしが文句を言うとこじゃないか。美和子さんのセリフよね」


冷凍庫の中から小分けしてあるご飯を取り出しレンジに入れる。
その間に急いでシャワーを浴びるとあり合わせでチャーハンを作り胃袋の中へとおさめていく。

半分ぐらい食べた時に携帯が鳴りバッグの中から取り出すと道明寺の名前。
その名前をこうしてみるだけでドキッとするのは、あたしの日常にはなかったからだ。


「メールからって言ったのに」
心臓の音がドキドキしてとてもじゃないが、電話で話す事に緊張してしまう。


「耳元で声がするのとか無理だから」
1人赤くなり不機嫌な声を出しても電話は鳴り続けて受話ボタンを押したあとすぐに切った。
急いでメール画面を開いている間にまた鳴る電話。


「もーーー。ちょっと待ってよ」
またも同じ操作ですぐに電話を切った。


メールからっていったでしょ
急いでそれだけ送ったあたしはものすごく疲れた。



着信者の名前を見ただけで緊張して
声を聴く事を想像してあたふたして
すぐに電話を切ったことを怒っているであろう事にもドキドキするし
ほんとにもう疲労感が半端ない。
10年も前に自分を忘れた男の出現って反応に困りすぎる。



バーカ

たった三文字の返信メールにプッと笑ってしまうぐらいが今のあたしにはちょうどいい。



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意識しまくりなんだけどやっぱり素直にはなれないかぁ
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*ririko*

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花より男子の二次小説です。
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