08 幸せの法則
道明寺が出張から戻ったと聞いてバイトが終わると邸へ向かった。
ノックをするけど音沙汰がなくてドアを開けるとあいつは、ソファーで寝てた。
「風邪ひくよ」
「ん…」
すぐに寝息が聞こえた。
疲れてるんだな…
あんたは、結婚を認めてもらうために懸命に仕事をしてるのよね。
ブランケットをかけると顔も見たし家に帰ろうと立ち上がった。すると
「おい帰るな」
目を閉じまま道明寺があたしを止める。
「牧野」
「ん?」
「膝枕」
何となくイヤだとも言えなくて道明寺の頭を持ち上げるとその間に滑り込むようにして座った。
一度も目を開けなかったけど何分もしないうちにまたスースーと寝息が聞こえる。
ふふ…長い睫毛
鼻筋が通って高い鼻
チョンと睫毛に障るとすごーく嫌そうな顔をして
慌てて手をどけた。
「ま…きの…」
寝言でも呼ぶあたしの名前。
その寝顔を見ていたら何だか幸せ過ぎて
胸がいっぱいになっちゃって
わけがわかんないけど涙が出て来て
あぁ…頑張ってくれてるんだなと思ったらすごーく感動しちゃって
ポトッポトッと涙の雫が道明寺の顔におちた。
パッと道明寺の目が開いて驚いた顔して
「どうした…何があった」
「んん…幸せだなと思ったら何か感動して涙が出た」
「バーカ幸せなら笑うんだろ」
伸ばした手が頬に触れると綺麗な指先であたしの涙を拭う。
「違うよ。幸せなら手を叩くんだよ」
幸せなら手をたたこう パンパン
「足もなかったか?」
「あったあった幸せなら足鳴らそう」トントン
座ったまま足を踏み鳴らすと膝枕がガタガタ揺れて道明寺は笑う。
もう寝かせてあげようなどという気はなくなった。
まるで小さい子どもをあやしているみたいで
うふふふふ
楽しくなってしまう。
「何か子どもあやしてるみたい」
何度も何度も足を踏み鳴らしガタガタしては道明寺も笑う。
「最新の知ってるか?」
「最新?」
むくっと起き上がって
「幸せならキスしよう」
「却下却下」
「チッ…んでも幸せじゃねぇ時でもキスしたら少し幸せになるよな」
「うわぁ 道明寺ロマンチスト」
「うるせぇ」
なんか顔が赤くて笑いが零れる。
「不幸せなら何を叩くんだろ」
そんな真剣に悩むことじゃないのになんか二人で考えだして
「背中だな」「腹」
「おい、牧野何で腹なんだよ」
「だって可笑しくない?ポンポーンッって。あははは笑っちゃうから幸せになる」
お前は本当のアホだと言いながら道明寺はゲラゲラと笑う。
笑顔こそ幸せだからだろう。
「あんたこそ何で背中よ。自分じゃ叩けないじゃん」
「アホ、お前が叩くんだよ。ほら頑張れ、幸せにしろってな」
やれやれ…あたしの負けだ。
「幸せだから態度で示します」
チュッ
パンパンッ
「え?」
「幸せだから手を叩いといた」
~Fin
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久しぶりに甘いの
だけどこれ書きながらセブンの北海道限定じゃがいもコロコロ食べてて
全然甘くないだけど美味し過ぎる
応援エネルギーお願いしますッ♪
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