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幸せのセオリー 42



人の皮膚というのはこうもよく伸びるものかと思う。そんなあたしを揶揄うように


「お前、最近態度でけぇ」
「あんたは年がら年中だけどね」


会話ばかりはそうそう成長がみられないのも仕方ない。
性別を聞くことをせず楽しみに待つという選択をしたあたし達は、お腹の子に向かって仮の名前をつけた。


それは、工夫すらどこにも見えないが道明寺のたっての希望で『牧野』だ。
あたしは、司と呼ぶよう決めた事すら忘れたように道明寺と呼び続けたが道明寺は結婚以来あたしをつくしと呼ぶ。そりゃそうだ。夫婦になって旧姓で呼ぶ人もいないだろう。だけど、呼びなれた名前を何でだか呼びたい欲求がふつふつと沸くそうだ。


「牧野に戻ろうか?」


笑って聞くと道明寺牧野って名前に変えろと笑っていう始末で今は嬉しそうにお腹の子にむかって『牧野』と呼びかける。


「賢い牧野、今日も元気か」
「可愛い牧野、おはよう」


あたしにしてみたら、つい自分のことだと思って一瞬照れてしまうのだけれど


「賢いとか可愛いとか無縁の言葉で気づけよ」
「あぁそうか」

思わず答えてからキーッとなる。



だけど、道明寺が呼ぶ『牧野』という響きが何だかとても好きだ。
時に怒りに満ちた声色で呼ばれ、時に悲し気で時に艶めき時に笑いを含んだ呼び方だった。



F3たちは、今でもあたしを牧野と呼ぶがお腹の子には同じように牧野と呼びかける。そして道明寺と同じように可愛い牧野とか、脱ボンビー牧野だとかさんざん言っが野獣が生まれるか猛獣使いが生まれるか楽しみらしい。



「足の爪が切れないし靴下も履けないし大変なのよ」
「それ、みんな司がやってあげてるんでしょ」
「そうなのよ。それこそ驚くべき出来事でしょ」


日本へと戻ってきている時には、あたしというよりもお腹の牧野のご機嫌伺いに顔を出してくれていた。



「お前と俺の間を唯一阻むのが腹の牧野だ」


正面から抱きしめるたびに溜息とともに道明寺が零す頃、ついに西門流で話し合いの場がもたれることを聞いた。薄々は感じていた人もいただろう。だがうかつに口に出せる事でもなくこの日こそ聞きたいことも言いたいことも山盛り状態なはずだ。



その場にあたしたちの誰もが参加する事は出来ない。
あくまでも西門流の問題でそれこそ口出しをする権利もない。


「いよいよだね」


クレアに声をかけると日本風に言えば腹を括った状態なのだろう。そうなった時の女性は本当に強いと思う。



「伝統ということがどれほど大切かはわかってる。だから総二郎さんとあたしがここで終わるという結果も考えた。でも賢三くんという同じ西門の血を引く立派な人がいることを知ってもらう機会にもなったわ。当然、理解を求める努力はする。総二郎さんと賢三くんどちらも素晴らしい後継者だと思う。それに何よりあたしも茶道がスキだから」


「別れることになってもいいの?」
「よくないわよ。でもあたしが納得してしまう理由であったならその時は引くべきだと思ってる。総二郎さんも茶道を大切に思ってるのがわかるからね」

「悔いのないようにね」
「話が全部聞き取れないというのが難題だ」


笑いながら手をふって車で出かけていったクレアだが、胸中は穏やかではないだろう。一番の危惧は破門や絶縁という最悪の状況を回避したいということだろう。

自分の大切な人にそんな思いをさせて幸せとは言い切れないからだ。



お腹の牧野を撫でながら

「笑顔で帰ってくるといいね」
願うように語り掛けた。



この日、道明寺は早朝から出張に出かけたが気にかける様子すらみせることはなかった。お腹の『牧野』とあたしに対しては煩いぐらいにあれこれと言っていったが一言もその話題には触れず、ただクレアにひとつ頷くと出かけていった。


花沢類や美作さんからも連絡も入らない。それは無関心なわけではなく西門さんとクレアの導き出すこたえを受け入れる姿勢のようだ。手助けの必要が出ればすぐにでも力を貸すだろう。だけど誰もが自分の足でしっかりと歩き始めている。自分たちの願いを叶えるために挑む二人にあたし達は心の中でエールを送る感じだ。



みんなで意見を出し合った計画通りに事は進んできた。あたしも微力ながら手記には賢三くんの事を書いた。クレアと西門さんと賢三くんの写真まで載せたことからかなりの反響があった。表舞台に出ることのなかった賢三くんの凛々しさに女性たちは新な関心を寄せる。どちらがいいかなど実に勝手な事を言ったのは想像するに容易い。だがそれは同時に茶道への関心にも繋がる結果となった。



そして時間の経過とともに家の中で心配でうろうろして落ち着かない。そんな状態で今日を過ごしているのは間違いなくあたしだけだ。


「近くにいようかな」


行っても話し合いの場へと入れるわけではないが、どうにもこうにもじっとしていられない。いそいそと支度をすると


「奥様、ご自宅でお待ちください」
子どものように止められたが


「ちょっと見てくるだけ」
肩を竦めて西門邸へ向けて車へと乗り込んだ。


**************
『道明寺』『牧野』
これがやっぱり一番しっくりくるなぁ

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花より男子の二次小説です。
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