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幸せのセオリー 44


元いた洋室へと戻りソファーへ座るとお茶を入れなおしてくると頭を下げながら


「奥様がよく坊ちゃんたちと話をされるようになりましてね、これも変化を怖がらずに本来あるべき姿へと戻っているのでしょうね」

優しい笑みをうかべて部屋を出て行った。


「普通のことなのに、変化とか怖がるとかほんと変な世界」


一人ごとを呟いたところで仕方なさはわかる。きっと誰もが仕方ない仕方ないという想いの積み重ねから歪なカタチを創り出したんじゃないだろうか。それがぴったりと嵌っているようで無理に作り上げたカタチは元へ戻ろうと動き出したり、動けないことに身体を小さくし息を潜めてもいるのだろう。



貧乏は自慢できることじゃないけど、庶民に憧れる部分もあるかもしれないな。
間違っても憧れなどという言葉は使わず気楽でいいなとか、それのどこがいいと憎らしい言葉を言うだろうがそれが彼等でありその奥にある心意を理解するにもやはり相手を知ることなんだろう。目で見える部分だけでは贅沢で華やかな彼等に目がいってしまう。実情は違った部分で大変な思いをしていた。


どっかりとソファーに腰をかけ飾られている高そうな絵を見ながら時間をつぶしていると廊下で人の声が聞こえはじめた。



急いでというか、よいしょという掛け声とともにあたしにしてはマッハのスピードで立ち上がった。こんにちはって挨拶でいいか。白々しい?ぶつぶつ言いながらドアを開けるとすぐに恰幅のいい初老の男性の後ろ姿があった。その方はドアの開いた音で振り向かれ



「これは道明寺様」


そういったあとで大きなお腹にやはり視線は動く。
これもあれだ。あたしのお腹が大きくなければセクハラとでも感じてしまうであろうし男性もまたそうすることはないだろう。だがあたしと道明寺の間を唯一阻むと言われるこの大きなお腹は、他の人とでは隔たりを消し去る。



「そろそろご出産の時期ですかね」
「もう臨月に入ります」


つい話ながらお腹を撫でてしまうのも妊婦特有なものだろう。


「今日はご心配で駆け付けられたのですかな」
話し合いが不和に終わったわけではないと感じさせるのは、空気から伝わる穏やかさだ。

「もちろんそうです。何も出来ることはないのでせめて近くで心配しようと」
笑いながら言うと後から出てきた人たちもその場で足を止めクスクスと笑う声が聞こえる。



「破門とか絶縁とかそんな事態にはなっていませんよね?」
覗き込むように聞くとまた笑い声が響き


「私たちも悪人ではないですよ」
「安心しました。安心ついでにお伺いしたい事がもう一点」
「何でしょうか」


あたしはこのお腹の牧野の存在をフル活用だ。
ゆっくりと撫でながら


「毎日お腹の中で育つ子どもは例え自分の身体がこんな風にしんどく感じても愛しく思います。きっと生まれてからも可愛いばかりではなく悩ませてもくれると思うんですけどそうやってこの子に親にしてもらうと聞きました」


「女性は、なお大変でしょうな」
「大変なんです。本当に大変で、それを思うと悩ましくもあるんですけど、そうまでして生み育てた子どもがどれほどまでに愛しいかということなんです」

この穏やかな空気が一瞬にして凍り付くことも考えられたがあたしは思い切って口に出した。



「秀一さんも西門の大切なご子息ですよね。我が子と縁を切るなんてどれほど辛いことかと母になる立場になると前よりもっと強く感じます」

さすがに秀一さんの名前を出した瞬間、ざわついていた声はピタリと止まった。



「仰られている事はよくわかります。ですが道明寺様、私どもは、そうしろと一言も言ってはおりません。そう仕向けてもいないんですよ」


本当ですかと尋ねるようにあたしは、足を止めた人たちの顔を見たが、みな一様に頷く。後ろの方に西門さんの姿が見え今そんな事を言うなというよう手のひらを額にあてていたがその横で賢三くんは笑っている。


「家元が立場上してしまった失敗ということなのかしら?責任をとるにしても親子の縁を切ることで収拾をつけるというのは、どう考えてもひどいですよね」

そういったときにはあたしはすでに笑っていて、家元に向かって何を言っているんだという自覚はあり過ぎた。


「本当に道明寺の嫁はこんな不出来でお恥ずかしい」
「恥ずかしければこれから磨けばいいことです」
「はい。間違いも気づいたときに正さなければいけないですしね」

小さく舌を出すと男性は何度も頷いてみせた。



こんな大きなお腹で立っていたら通れませんよねと笑いながら言えるほど図太くなったというか強くなったのは、NYでの生活のお陰だと思う。何でも口にすればいいとは決して思わないが飲み込み過ぎるのは日本人の短所でもある。まして察しろなどということはあくまでも予想であって心意など本人が口にしなければわからないことだ。

不必要に愛想よく笑みを浮かべるその下に嫌悪感や憎悪や反発心を抱いているのなら、時には話すことで自然な笑みへと導かれることもあるだろう。



そして道明寺という名前がすくなからずあたしにプライドのような自信のようなものを与えている。驕るわけではなく、発言する権利を与えてもらえる立場にたてたということだ。まぁ言い出すとその立場が必要ってのが何だと言いたくなるのだがとにかくこうして西門家が和解という糸口を見つけられたのであれば嬉しいことだ。



そういう事の為には道明寺という名前がもたらす力を活用させてもらおうと思う。
重すぎる名前だけど決して苦しさを与えるだけの名前ではないのだから。
間違ってもそれを踏み台にと思わないのは、大きすぎて登れる気すらしないからだ。


*************
私ったら全てまるく収めようとしてる

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*ririko*

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花より男子の二次小説です。
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