幸せのカタチ 8
「牧野先輩、夏休みにN.Yに行きません?」
「あぁ…」
チラリと濁すようなつくしの様子を桜子は見逃さなかった。
「もしかして…行く予定でした?」
「う…うん。昨日道明寺がチケット送るから来いって」
道明寺先輩さすが…と思いながらもうまく動かす花沢類に関心の桜子。
「じゃあ一緒じゃない方がいいですかね?」
そんな気などまったくないのにこのあたりは桜子もさすがだ。
「いや、あまり時間ないと思うし1人で行くのはやっぱりちょっと不安で」
「それならいろいろ相談しませんか?」
バイトの時間まで少し眠りたいと思っていたつくしの手をひき
昨日いたカフェへと連れていった。
歩きながら当然桜子はメールを打つ。
送信先は美作あきら
ここにメールをすれば総二郎と類を呼んでくるのは明らかだ。
牧野先輩がN.Yへ行くそうです。
カフェにいます!!
そんなメールを受け取ったあきらは、自分の事のように嬉しく感じる。
かくいうあきらもまた電話の繋がらない司に対し
つくしの状況と誘い方をレクチャーしたメールを送っていたが
司がその通りに出来る見込みは薄かった。
絶対に違う手段だろうなと笑いだしたくなったけれど
それでも、自分の力でと頑な牧野をN.Yへと向かわせる司に
真剣な思いに勝るものはないのかもなと羨ましく思い
隣を歩く総二郎にメールを見せ
どこかで寝ているであろう類にメールを送った。
牧野N.Y行き決定!
カフェ集合
「司、すげーな」
「あの牧野だぞ。何て言ったのかそれが知りてぇよな」
「聞きたいけど聞いたら行かないとか言い出すから我慢だな」
「N.Yへ行ってからだな」
「何か俺らが司に会うの楽しみにしてねーか?」
カフェへ向かいながらも何でだか楽しくて仕方がない。